日立製作所(取締役社長:庄山悦彦)は、中期経営計画「i.e.HITACHIプラン」の実現に
向けた取り組みの一環として、財務・人事総務・資材といった管理部門において、最新の情
報技術(IT)を駆使したシステムを構築することにより、抜本的な業務改革(BPR:
Business Process Reengineering)を実施し、高効率経営システムの実現を目指していま
す。
具体的には、2000年度下期からの1年間で約100億円を投資し、各部門において、
2001年10月よりBPRシステムのフル稼動を開始します。
当社は、現在、中期経営計画「i.e.HITACHIプラン」に基づき、企業買収、資本参加、提
携などを積極的に進め、ソリューション企業への質的・構造的な転換を図っています。この
ような中で、事業運営をサポートする管理部門の業務効率を向上させることも急務となって
おり、これまでにも、本社スタッフを従来の約3分の1に相当する400人に縮小するなど、
管理部門の効率化を図ってきました。BPRシステムの構築は、これをさらに一歩推し進め、
最新のITを駆使した高度経営システムの実現を目指すものです。システムの構築は、20
00年4月に設置された「業務革新推進本部」(本部長:取締役副社長 八木良樹)が中心と
なって推進しており、2001年10月からのフル稼動に向けて、財務・人事総務・資材の
各部門毎に、抜本的な業務改革に取り組んでいます。
1.財務部門
「スピード経営」の実現に向けて、連結ベースでの経営情報をリアルタイムに把握するた
め、その基幹である財務会計システムを30年振りに一新します。
(1)グローバルスタンダードなERPの活用
決算・入出金・財産等の財務会計システムとして、SAP社の統合型パッケージソフト
(ERP:Enterprise Resource Planning)であるR/3を採用し、ワールドワイドに展
開することによって、業務の標準化・効率化を促進します。
(2)経営リソースの有効活用
サーバ及びシステムは本社の計算センタに集約します。従来、各事業所の財務担当拠点
(66ヶ所)で開発、運用してきたシステムを排し、顧客指向システム(SCM、CRM)
へ経営リソースを振り分けて有効活用を図ります。
(3)シェアドサービスセンタに集約
標準化された業務については、シェアドサービスセンタに集約し、専門性を高めること
により、質と価格の両方で競争力のあるサービスを提供していきます。この一環として、
2000年10月より本社の財務事務を日立トリプルウィン(株)へ、同12月には茨城
地区の財務事務の一部を日立茨城トリプルウィン(株)へ業務委託を開始しました。これ
らにより、財務に関わる業務量の約20%削減を目指します。
2.人事総務部門
人事総務部門は、成果主義と「個の尊重」を基軸とした人事政策を更に推進すると共に、
効率向上を目指し、部門として創業以来初の抜本的な業務改革を行ないます。
(1)事業特性を反映出来る制度整備と人材流動化の検討
人事総務部門は、本年4月に導入した新・人事評価制度「Hitachi Value」による成果主
義をさらに強化し、事業グループ毎の事業特性を一層反映できる制度の整備に着手しました。
また、グローバル・コンペテションの中で勝ち残る為の付加価値を創出し続けるため、個々
人の能力を日立グループ内で最大限に発揮し得る人材流動化施策の検討を開始しました。
(2)全社業務プロセス改革
人事総務部門は、全国各事業所の人事総務担当拠点(80数ヶ所)に分散しており、個々
の事業部や業務ごとに約300種類に及ぶ業務プロセスを有しています。これを全社共通の
業務プロセスに統一するために、現行プロセスや関連する制度・規則の見直しを行っていま
す。また、これに対応した新システムについても開発中であり、2001年度下期の稼動を
予定しています。
(3)シェアドサービスセンタの新設
賃金処遇制度の企画立案支援、給与計算および福利厚生、社会保険や退職金・年金等の事
務処理を集中・集約化し、収益責任を持ったシェアドサービスセンタを2001年度下期に
新設する予定です。シェアドサービスセンタにノウハウを蓄積することで、業務(サービス)
の質的向上と効率向上を図ります。
(4)セルフサービスシステムの確立
これらの業務に関するノウハウや専門知識、技能等をナレッジデータベースとして構築し、
社員が適宜アクセスして活用できるセルフサービスシステムを、2002年度上期に確立し
ます。また、ナレッジデータベースに関するコールセンタも開設し、問い合せ等に対応する
計画です。
これらの業務改革とIT化により、人事総務部門の業務量は現在の約1/2となる見込み
です。これに伴い、人事総務部門のミッションを事業戦略スタッフ業務に特化し、少数精鋭
化を図ります。
なお、この改革を通じて蓄積した人事総務部門のBPRノウハウ、システム構築ノウハウ
を活用したコンサルテイングや情報システムを日立グループ関連会社も含め外販することも
計画しています。
3.資材部門
日立グループでは、年間約5兆円の資材購入を行っています。BPRシステムの構築によ
り、日立グループとしてのスケールメリットの最大化と業務効率の大幅改善に向け、関連会
社と一体となった資材調達を強力に推進していきます。
(1)集中購買の強化と「ネット調達推進センタ」の設置
汎用・共通品については、スケールメリットを追求した集中購買を実施します。この一環
として、本社に「ネット調達推進センタ」を設置し、社内並びに関連会社を合わせた品目別
プロバイヤーを配置し、市場動向・取引先情報を専門的に把握すると共に、グローバルな取
引先の開拓と最適取引先の選択、価格決定等を行います。また、専門エンジニアを配置し、
市場主流品・標準品の選定を行うと共に、各事業所の設計・品質保証部門に対する部品アド
バイザー業務を行い、これらの活動により全社的な市場主流品の採用(特別仕様の排除)を
強力に推進するために部品の仕様及び認定情報のデータベースを構築します。
(2)インターネット調達の拡大
当社は、事務用品等の非生産財を対象に、インターネットによる調達システムを2000
年4月から活用していますが、今後、電子部品・半導体・燃料関係等の生産材についても順
次対象拡大を図り、原価低減及び購入手配の効率化を図ります。
以 上
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