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平成12年8月31日 |
ゲート電極加工用の新型ドライエッチング技術を開発 −最小線幅0.1マイクロメートル以降の 半導体製造プロセスに適用− |
日立製作所 中央研究所(所長:武田英次)は、このたび、ゲート長(ゲート電極の幅)が0.1 マイクロメートル(μm)以降の次世代システムLSIや大容量メモリの量産に向けた、ゲート電 極加工用ドライエッチング技術を開発しました。本技術は、UHF−ECRプラズマ(*1)を利 用した新しいゲート膜の加工技術です。直径200mmのウエハ全面にわたって加工精度5ナノメ ートル(nm)以下で、幅70nmのゲート加工を実現しました。これにより、10nm以下の加 工精度が要求されるゲート長0.1μm世代のLSIの製造に適用することが可能です。 システムLSIやメモリLSIの高性能化とともに、半導体素子の高集積化、微細化が要求され、 その製造プロセスにはより高度な加工技術が必要となっています。なかでも、トランジスタのゲー ト電極は、寸法精度がデバイス性能の優劣に大きく影響するため、最も厳しい加工精度が要求され、 ゲート長が0.1μm以降の世代になると、10nm以下の加工精度が必要だといわれています。 従来、ゲート電極の加工は、高密度プラズマを用いたドライエッチング法が用いられていましたが、 加工精度は10nm程度が限界のため、新しいエッチング技術の開発が必要でした。また、実用的 な量産技術として適用するためには、ウエハ全面で一様に高い加工精度を実現することも課題とな っていました。 プラズマエッチングは、反応性ガスを放電させてプラズマ状態にし、この時発生するラジカル (反応種)とイオンを固体材料と反応させて反応生成物として取り除き、微細パターンを形成する プロセスです。反応生成物は反応室に設けられた排気口から外部へ排気されますが、反応性ガスに 衝突して散乱したり、プラズマ中の電子に衝突して分解されたものが、ウエハ上の微細パターン表 面に再び吸着して堆積物となります。そして、過度の堆積物はゲート膜の垂直加工を妨げる原因と なり、微細パターンの精度を劣化させる要因となっていました。 また、ウエハ全面で高い加工精度を得るためには、反応室内のプラズマと反応性ガスを均一にし、 ウエハ上に堆積する反応生成物の分布を均一化する必要があります。 そこで当社では、これらの課題を解決し、0.1μm世代以降のシステムLSIや大容量メモリ の量産に対応できるゲート電極加工用エッチング技術を開発しました。本エッチング技術は、当社 独自のUHF−ECRプラズマ生成技術と、反応室の設計最適化により実現しています。 UHF−ECRプラズマ生成技術は、UHF波(極超短波)と磁場との共鳴現象を利用し、中密 度で低圧のプラズマを安定かつ均一に生成する技術です。従来の高密度・高圧のプラズマを用いた 方式に比べ、反応生成物の分解と堆積を低減し、高精度な垂直加工を実現しました。また、荷電粒 子によるデバイス破壊の影響を抑制できるという特長もあります。 一方、ウエハ面内の均一化のために、エッチングガスの供給源や反応室の構造を最適化し、反応 室内のエッチングガスの流れを制御することによって、ウエハ表面に堆積する反応生成物の分布を 均一化しました。これにより、ウエハ全面に対して一様に高い精度での加工が可能となりました。 本技術を、多結晶シリコンを用いた線幅70nmのゲート電極加工に適用したところ、直径200 mmのウエハ面内におけるエッチングレートの均一性±1.5%、粗密パターン間での加工精度5 nm以内を達成し、ゲート長0.1μm世代以降のロジック/システムLSIや大容量メモリの量産 に対応可能であることを実証しました。 今回開発した高均一・高精度のゲート加工技術は、0.1μm世代以降で重要となる複数の材料 を用いた新構造のゲート電極(*2)の加工にも適用可能であると共に、300mmウエハプロセ スへの拡張も可能です。 本成果は、8月28日から仙台市で開催される「2000年 国際固体素子・材料コンファレン ス(SSDM2000)」で発表する予定です。 <本技術の特徴> (1) 中密度・低圧のプラズマ生成による高精度、低損傷エッチング性能 従来の高密度プラズマを用いたエッチングに比べ、反応生成物がプラズマ中の電子と衝突、 分解することを抑制することで、ウエハ表面に吸着する堆積物の低減が可能です。この結果、 過大な堆積物によるエッチング精度の低下を改善し、高精度な加工を実現しました。また、 同時に過大な荷電粒子による帯電を防ぎ、デバイス破壊の低減も実現しています。 (2) 大口径ウエハに対応した高精度エッチング性能 反応ガスの供給領域や反応室のアスペクト設計の最適化により、反応性ガスの流れ(分布) を制御し、ウエハ表面の堆積物分布を均一化しました。これにより、ウエハ面内で均一な加 工特性(エッチングレートや加工精度)を実現しました。 また、ウエハ面内での高均一・高精度加工の実現により、ウエハ全面でタイミングの揃った プロセス条件(プラズマ密度、バイアス、ガス種/混合比など)の制御が可能となり、複数の 材料を用いた新構造のゲート電極加工に対しても、ウエハ全面に対して一層精度の高い加工 が可能となりました。 <用語説明> (*1)UHF―ECRプラズマ生成技術 UHF波と磁場との相互作用を利用することにより、単一モードのプラズマを広範囲で 生成する技術。サブパスカル/中密度領域において密度ジャンプのないの連続安定プラズマ 生成特性を得ることができる。 (*2)複数の材料を用いた新構造のゲート電極 超高速デバイス対応のゲート構造として、金属や異種半導体材料による多層膜ゲート構 造や、n型とp型のトランジスタを混載させたデュアルゲート構造の適用が試みられつ つある。本技術では、ウエハ全面の均一性制御性能により、各層でガス系や圧力などの 条件が著しく異なる場合にも、高精度な加工が可能となる。
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WRITTEN BY Corporate Communications Division |