日立製作所 計測器グループ(グループ長&CEO 猪俣 博)は、このたび、半導体や素材、医学、
バイオ分野等の評価・分析用途として、世界最高の分解能0.5nm(加速電圧30kV時)を実現した走査
電子顕微鏡「S-5200」を製品化し、平成12年8月11日から販売を開始します。
(*)分解能:走査電子顕微鏡は細い電子ビームを半導体ウェハなどの試料に当て、試料から出て
くる電子を検出して像を描画する。分解能はその像の細かさを指す。
近年、IT産業の急激な発展に伴い、半導体デバイスの超微細化、高密度化が進み、半導体メー
カーからは、超微細領域のより高い精度の評価・分析が望まれています。また、機能性材料や新素
材の開発、医学バイオロジーの分野でも、研究開発を促進するため、超微細領域の構造を観察する
ニーズが高まっています。
当社は、これまでも半導体や素材、医学、バイオ分野等向けに、世界最高の分解能を有した走査
電子顕微鏡として、「S-900」、「S-5000」を相次いで提供してきましたが、このたび、市場の微
細化のニーズに対応し、さらなる高分解能を実現した「S-5200」を製品化しました。
「S-5200」は、電子顕微鏡の対物レンズの中に観察試料を挿入して高分解能観察を可能にする当
社独自の手法を活用し、さらに強励磁短焦点レンズの開発や極微小領域での試料の汚れを防ぐ工夫、
従来比3倍以上の耐振性の向上等により、加速電圧30kV時に0.5nm、加速電圧1kV時では1.8nmという
世界最高の分解能を実現しました。
また、本製品は、業界で初めて、試料表面情報を観察する二次電子情報と試料の組成情報を観察
する反射電子情報をコントロールし、高分解能の領域での組成情報や表面情報の強調など、ユーザ
ーの目的に合わせた観察を可能とする高分解能観察機能を搭載しています。
これにより、半導体メーカーは、超微細化技術の開発や微小領域の故障解析を行うことができ、
次世代のIT機器に求められるより高性能な半導体デバイスの開発が可能になります。また、最先
端の研究施設や大学でも、従来クリアに観察できなかった超微細領域の構造観察が可能となり、新
たな素材、材料の開発やバイオ技術の進展などが期待できます。
本製品は、国内外の主要半導体メーカーや研究施設、大学を中心に、初年度60台の出荷を目指し
ます。
■主な仕様
仕 様 | 「S-5200」 |
二次電子分解能 | 0.5nm(30kV)/1.8nm(1kV) |
倍率 | 60〜200万倍 |
最大試料サイズ | 5.0mm x 9.5mm x 3.5mmH 2.0mm x 12.0mm x 6.5mmH (断面ホルダ使用時) |
装置サイズ・ 重量 | 本体 | (幅) 890 x (奥行き)1,030 x (高さ)1,660(mm) 600kg |
ディスプレイ | (幅)1,050 x (奥行き) 880 x (高さ)1,200(mm) 260kg |
電源ユニット | (幅) 520 x (奥行き) 600 x (高さ) 905(mm) 75kg |
ドライポンプ | (幅) 252 x (奥行き) 400 x (高さ) 336(mm) 25kg |
エアコンプレッサ | (幅) 230 x (奥行き) 400 x (高さ) 550(mm) 18kg |
ウエイト | (幅) 200 x (奥行き) 180 x (高さ) 160(mm) 40kg |
■価格および出荷時期
製 品 名 | 価格 | 出荷時期 |
高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 「S-5200」 | 8,400万円〜 | 平成13年1月10日 |
以 上
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