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平成12年6月30日
世界で初めて低温吸収式冷凍機を開発
− アンモニアを使用せず、水・臭化リチウム方式で、
マイナス5℃を実現 −
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  株式会社日立製作所 電力・電機グル−プ(グル−プ長&CEO:久野 勝邦)は、このたび、世
界で初めて、アンモニアを使用せず、水・臭化リチウム方式を採用することで、マイナス温度
(−5℃)の冷熱を実現した低温吸収式冷凍機を開発、実用化しました。初号機は、サッポロ
ビ−ル株式会社に納品する予定です。今回の開発により、従来は空調用途が中心であった、水・
臭化リチウム方式の吸収式冷凍機を、−5℃〜0℃前後での使用が想定される、食品製造プロセ
スや食品貯蔵分野等での使用を可能にしました。
  なお、本開発は、NEDO(新エネルギ−・産業技術総合開発機構)と財団法人省エネルギ−センタ
−が進めている「エコ・エネルギ−都市プロジェクト」の一環として当社が受託した「氷温発生・
排熱利用吸収式冷房システム」の研究成果を応用したものです。

  今回開発した水・臭化リチウム方式を採用した低温吸収式冷凍機は、コジェネレ−ション等の
排熱を活用することにより、省エネルギ−、省電力化が図れるとともに、従来のアンモニア方式
と比較して、高圧ガス保安法の規制を受けずに、特別な資格無しでの運転を可能にします。

  水・臭化リチウム方式の吸収式冷凍機は、電力平準化、運転経費の低減メリット、加えて、排
熱が有効活用できることから、ビルや工場等の空調用熱源機として広く普及しています。
  食品メ−カ−に対しても、地球温暖化防止条約京都会議の開催などをきっかけとした環境意識
の高まりの中で、環境への負荷の少ない、冷凍システムの開発が求められており、食品製造プロ
セス、食品貯蔵分野でも使用可能な低温吸収式冷凍機の開発が求められていました。

  しかし、水・臭化リチウム方式の吸収式冷凍機は、冷媒である水が凍結してしまうため、蒸発
温度を0℃以下にすることは原理的に不可能であり、取り出せる冷水の温度は、+4℃程度が限
界でした。このため、−5℃〜0℃前後での使用が想定される、食品製造プロセスや食品貯蔵分
野等の用途での使用は不可能で、電動式冷凍機やアンモニア方式の吸収式冷凍機等が用いられて
いました。

  今回開発した、水・臭化リチウム方式の低温吸収式冷凍機は、豊富な納入実績を誇るパラレル
フロ−吸収冷温水機をベ−スにした、冷凍能力965kW(275usRT)の蒸気焚き機です。低温吸収
式冷凍機は2つの技術課題である冷媒凍結防止と熱汲み上げ温度差拡大の課題を克服して実用化
したものです。
  冷媒凍結防止の課題については、純水冷媒への臭化リチウム混合による凝固点降下により克服
しました。濃度を濃くすればするほど凍結に対する余裕が増大しますが、蒸発器の伝熱性能が低
下します。そこで、最適な濃度を維持するための混合冷媒濃度コントロ−ル技術を適用していま
す。 
  また、熱汲み上げ温度差拡大の課題については、2組の蒸発器と吸収器を組み合わせ、低温か
ら高温へと2段階で熱を汲み上げる2段蒸発吸収サイクルにより克服しました。高温ユニットの
蒸発器で低温ユニットの吸収器を冷却します。本技術により、低温蒸発器の混合冷媒は、−10℃
程度で蒸発し、−5度のブライン*を生成します。
* 不凍液

■特許申請
 1.公開番号:特開平10-205909
 2.出願時期:平成9年1月
 3.名    称:混合冷媒の濃度制御に関する特許
 以上の他11件提出済み

■特徴
  (1)電気以外のエネルギ−(排熱、ガス、油)で0℃以下の冷熱源が得られ、コ−ジェネレ−シ
     ョン等の排熱を活用して省エネ、省電力が図れる。
  (2)アンモニア方式に比べ、高圧ガス保安法、危険物等の規制を受けず、設置許可申請等
     の煩わしい手続が不要。
 (3)低圧サイクルで特別な運転資格が不要。

■用途
  食品製造プロセス、冷蔵


                                                                          以    上




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