日立製作所 半導体グループ(グループ長＆CEO 石橋 正)は、このたび、ページャ用高速通信プロ
トコルであるFLEX(TM)(注1) に対応したページャやページャ機能付きの携帯機器向けに、世界で初
めて、FLEXデコーダ(注2)と8ビットマイコンを1チップにした8ビットエンベデッドチップを製品化
し、平成12年9月からサンプル出荷を開始します。

  近年、中国等のアジア地域やアメリカなどのページャ市場では、通信速度を向上する方式として、
米国モトローラ社提唱のFLEX方式が業界標準として採用され、送信文字数拡大などサービスが多様
化しています。  
  またページャシステムでは、高性能化、高機能化、機能の複合化が進められる一方で、低価格化
も進んでいます。このため、半導体デバイスにおいては、FLEX方式に対応するだけでなく、システ
ムを高性能化、高機能化すると共に、部品削減等により小型軽量化や低価格化することが求められ
ています。

  当社は、この市場ニーズに対応するため、米国モトローラ社からFLEXデコーダコア(G1.9)のライ
センスを導入し、今回の8ビットエンベデッドチップを製品化しました。従来、FLEX方式に対応する
には、外付けに専用のデコーダICが必要でしたが、本製品は、FLEXデコーダコアと8ビットCPUを1チ
ップで実現したため、外付けのデコーダICが不要であり、ページャシステムの小型軽量化および低
価格化を図ることが可能です。また、内蔵しているFLEXデコーダは、バージョンG1.9に準拠してお
り、ローミングおよびノンローミング対応のいずれのシステムにも対応でき、さらに、1チップにし
たことで、従来必須であった制御用マイコンと外付けデコーダIC間のインタフェース回路のノイズ
対策設計が不要となります。
  さらに、電源電圧が1.8Vの低電圧で、発振周波数が2MHz、内部動作が1MHzの高速動作を実現して
いる上、ウォッチドッグタイマを含む5種類のタイマ、シリアルコミュニケーションインタフェース、
10ビット分解能A/D変換器などの豊富な周辺機能を内蔵していることで、1チップでページャシステム
を構成することが可能です。
  また、FLEXデコーダのドライバソフトウェアであるFLEXStack(TM)(注3)も準備しています。

  製品ラインアップとしては、ローミング(注4)およびノンローミング対応製品を含め、ROMが60k
バイト、RAMが2kバイトのZTAT(R)(注5)版2品種と、マスクROMが40k〜60kバイト、RAMが2kバイト
のマスクROM版6品種の計8品種を品揃えしています。パッケージは、100ピンプラスチックの0.5mm
ピンピッチTQFP(14mm×14mm)、0.4mmピンピッチTQFP(12mm×12mm)の2タイプがあり、システムの
小型化を実現できます。

今後は上位品種として、より高性能化を図るため、FLEXデコーダと16ビットマイコンを1チップに
したエンベデッドチップも製品化していきます。


(注1) FLEX(TM)：FLEXは米国モトローラ社の商標です。米国モトローラ社によって提唱された
      ページャの通信プロトコルの名称で、従来のデータ通信速度が1,200ビット/秒であるの
      に対し、FLEX方式では最大6,400ビット/秒の高速化を実現できる。
(注2)FLEX(TM)デコーダ：FLEXに基づき、無線受信部(RF部)からの受信データを呼び出し音、
    または光の点滅などの非音響的呼び出しと、LCD表示部上に呼び出し情報を表示する等を
    行なうデコーダ部。
(注3)FLEXStack(TM)：FLEXStackは米国モトローラ社の商標です。
(注4)ローミング：携帯電話、ページャなどの移動通信の利用者が、利用契約をしていない他の
     通信事業者のサービスエリアで通信した場合、利用契約をしている通信業者へ転送して、
     通信ができるようにすること。
(注5)ZTAT(R)((Zero Turn Around Time)：ZTATは(株)日立製作所の登録商標です。

■ 応用製品例
●通信機器(携帯電話、ページャ、複合機器等)
●家電製品(電光掲示板、価格表示板、タクシーなど営業車の情報表示板)

 (注) X:0.5mmピンピッチTQFP、W:0.4mmピンピッチTQFP



                                                                            以 上

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