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平成12年6月16日
サブ1V世代のLSIに向けた信号振幅変換回路の試作に成功
−最低動作電圧0.64Vまで適用可能−
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 日立製作所 中央研究所(所長 武田英次)は、このたび、0.64Vという低電圧動作のLSI
(注1)にも適用できるサブ1V時代に向けた信号振幅変換回路の試作に成功しました。試
作した回路は、低電圧で動作するLSI内部と、高電圧で動作するLSI外部との信号の橋渡し
をするものです。本技術の適用によって、LSI外部の一般的な電圧規格(1.8〜3.3V)を変更
することなく、サブ1V動作のLSIを実現できる見通しが得られました。

  近年、携帯型情報機器の需要が飛躍的に増大するとともに、これらの機器の頭脳となる
半導体の低消費電力化に対する要求が高まっています。その最も有効な手段として、消費
電力の大きなLSIの動作電圧を低減することがあげられます。この低電圧動作LSIでは、
LSI内部の低電圧化とともに、LSI外部の電源電圧との間で振幅レベルの異なる信号を橋渡
しするための信号振幅変換回路が必要となります。ところが、LSI内部の低振幅信号を高振
幅信号へ変換する“レベルアップ・コンバータ”では、低振幅信号の電源電圧が低いため
に、高振幅信号回路のトランジスタを制御できなくなるという課題がありました。また、
LSI外部の高振幅信号を低振幅信号へ変換する“レベルダウン・コンバータ”については、
高振幅信号から伝わるノイズが低振幅信号を阻害するという重大な問題がありました。

 このような背景から、今回、日立では、2種類の信号振幅変換回路を開発しました。
   
(1)昇圧回路型レベルアップ・コンバータ
     チャージポンプ回路(注2)を利用してLSI内部の入力信号振幅を約2倍に増幅し、
      その後高振幅信号へ変換する回路です。この回路は、現状のLSIで使用している
      トランジスタで実現できるもので、入力信号を増幅する機能があることから、
      高振幅信号回路のトランジスタを制御することを可能にしました。

(2)差動入力型レベルダウン・コンバータ
     入力高振幅信号とその反転信号による差動入力方式を適用し、両方の信号に重
      畳されているノイズを相殺することで、1V以下の電圧でも安定した動作が可能
      となりました。

  シミュレーションの結果、昇圧回路型レベルアップ・コンバータに関しては0.64V、
差動入力型レベルダウン・コンバータに関しては0.5Vの LSIの動作電圧を確認しました。
さらに、両回路を試作し基本動作を確認しています。これらの技術は、今後ますます重
要となるLSIの低消費電力化を支える必須の基本技術として期待されます。
 なお、今回の技術に関する研究成果は、6月14日からハワイ・ホノルルで開催される
Symposium on VLSI Circuitsで発表いたします。

<用語説明>
(1) LSI: Large Scale Integrated Circuit大規模集積回路。
(2) チャージポンプ回路:容量素子を用いて電荷を移動させることで、高電圧を発生
       する回路。



                                                                            以上




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