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平成12年5月24日
ネットワークLSIに適したオンチップ絶縁技術を開発
―絶縁トランス不要、部品点数、実装面積削減―
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 日立製作所日立研究所およびデバイス開発センタは、このたび、ネットワーク通信端
末に不可欠な絶縁機能をLSI内で実現する技術を開発しました。また、本技術を適用
した絶縁機能内蔵モデム用LSIを試作し、基本動作を確認しました。

 通信回線を介してデータを送受するネットワーク通信端末では、落雷や電力系統の事
故に起因するサージ電圧*1から、通信端末、オペレータを保護するためにネットワー
クと端末との間を絶縁することが安全規格*2で決められています。この絶縁のために
従来はトランス*3やフォトカプラ*4を用いていたために部品点数やコストが増える
だけでなく、消費電流が大きく、信号歪みが大きくなるため高速信号伝送が難しいなど
の問題がありました。

  そこで当社は、SOI*5(シリコン・オン・インシュレータ)技術を用いて、チップ
内の回路同士を絶縁するとともに、結合コンデンサを形成して絶縁しながらデジタル信
号を伝送する機能を持つオンチップアイソレータ*6を実現しました。さらにこのオンチ
ップ絶縁技術をネットワーク通信端末と電話回線の信号インターフェースとして用いら
れるモデムに適用し、絶縁トランスやフォトカプラを不要にするアイソレータ内蔵のア
ナログフロントエンド*7LSIを試作しました。今回試作したLSIを用いれば、従来
のモデム装置に不可欠であったトランスが不要となるため、部品点数は従来品と比べる
と20〜30%減、実装面積は占有面積の大きいトランスが不要となることで40%減が可能
となります。また、半導体チップ上に形成された小さなコンデンサを用いて、容量結合
で信号を伝送することで、従来に比べ消費電流が小さく、信号歪みも小さいので高速伝
送が可能となります。
 今回開発したオンチップアイソレータ単体では100Mbpsのデータ伝送が可能で、試作し
たアナログフロントエンドLSIは、現在一般に普及している56kbpsモデムの機能を備え
ています。

  なお、今回の絶縁機能内蔵LSI技術に関する研究成果は5月21日から米国のオー
ランドで開催されるIEEE CICC(IEEE Custom Integrated Circuits Conference)
にて発表します。
  用語解説
  *1 サージ電圧
        雷や電力系統の事故等により通信回線に誘起される異常電圧。
  *2 安全規格
        国際規格IEC(International Electrotechnical Commission)950及びそれ
        に対応した各国規格(例:米国UL(Underwriter's Laboratories Inc.)1950等)
  *3 トランス
        1対の巻線間の電磁結合により絶縁しながら目的とする信号を伝送するもの。変成器。
  *4 フォトカプラー
        発光ダイオードとその出力信号を受光するトランジスタを用いて、絶縁しながら目的と
        する信号を伝送する混成型の半導体部品。
  *5 SOI(Silicon On Insulator)
        絶縁物上にシリコン半導体を形成した半導体構造。
  *6 アイソレータ
        絶縁しながら(一方の電圧を他方に伝えずに)信号を伝送する回路。
  *7 アナログフロントエンド
        変復調等の信号処理をデジタル回路により行うモデムにおいて、電話回線との間でアナロ
        グ信号を送受する回路。ADC(アナログ−デジタル変換器)、DAC(デジタル−アナ
        ログ変換器)、各種フィルタ、制御回路などから構成される




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