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平成12年3月7日 |
日立と米国イクエータ社が情報家電、画像処理応用機器向けの 高性能メディアプロセッサ「MAP-CA」を製品化 − VLIWアーキテクチャの採用により、業界最高のメディア処理性能30GOPSを実現、メディア応用分野にソフトウェアソリューションを提供− |
株式会社 日立製作所 Equator Technologies, Inc. 株式会社 日立製作所(以下、日立)と米国Equator Technologies, Inc.(以下、イクエータ)は、このた び、セットトップボックスなどの情報家電および画像処理応用機器向けに、VLIW(Very Long Instruction Word)*1アーキテクチャを採用し、業界最高の30 GOPS(Giga Operations Per Second)*2の 性能を実現したメディアプロセッサ「MAP-CA(Media Accelerated Processor for Consumer Appliances)」 を共同開発し、本日からサンプル出荷を開始します。本製品により、セットトップボックス、ディジタ ルビデオや、プリンタ/複写機など映像/画像を扱う製品では、従来のASIC/ASSP(Application Specific IC/Application Specific Standard Product)を使ったハードワイヤードアプローチに代わって、ソフト ウェアによりメディア処理の機能追加、新規格に容易に対応できるソフトウェアソリューションを提供 することができます。 日立の松香副社長は、「イクエータ社との共同開発によって、メディア処理をソフトウェアソリュー ションで実現する新しいコンセプトの製品を開発することができました。メディアプロセッサ「MAP-CA」 が、当社の他のプロセッサとともにインターネット時代における情報家電分野の業界標準プロセッサフ ァミリーとして受け入れられるよう世界戦略を進めていきたいと考えています」と話しています。 今回製品化した「MAP-CA」は日立とイクエータが共同開発したメディアプロセッサの最新版で、30 GOPSという業界最高性能の画像処理、信号処理が可能です。「MAP-CA」は、独自のVLIW/SIMD(Single Instruction Multiple Data)*3アーキテクチャをベースとしており、高級言語Cでプログラミングする ことにより、メディア処理を高速に実行することができます。HDTV(High Definition TV)デコード、ビ デオタイムシフト、広帯域インターネットビデオ、ビデオ会議等の機能は、従来ASIC/ASSPでなければ 性能的に実現が困難とされていたものですが、「MAP-CA」によりC言語で記述したソフトウェアで実現 できるようになりました。このことにより、セットトップボックス、ディジタルTV、ビデオ会議システ ム、ビデオ編集機器、プリンタ/複写機、医療機器、ネットワーク機器など、幅広いマルチメディア製品 を実現できます。 米国ワシントン大学画像処理システム研究所のYongmin Kim教授は、「MAP-CAは、現在世界で最も高 性能なメディアプロセッサ(画像処理・ビデオ処理用DSP(Digital Signal Processor))です。その最大 の特長は、C言語によるプログラムでも非常に高い性能が達成できるということです。MAP-CAは広範な デジタル画像処理やビデオ処理アプリケーションの幅広い分野で益々重要な役割を担い、中心的なプラ ットフォーム技術となっていくでしょう」と話しています。 「MAP-CA」はメディア処理に最適なアーキテクチャを採用しています。まず、「MAP-CA」は、VLIWに よる並列処理に加えて1サイクルで16個のSIMD積和演算を実行できますが、これは他のハイエンドDSP の8倍です。また、一般のDSPアルゴリズムでは、5倍以上の性能が得られます。一方、従来のDSPと異 なり、「MAP-CA」アーキテクチャは、バイトアドレシング、キャッシュ、仮想メモリサポートといった汎 用CPUの特徴をも有しているため、アプリケーションソフトウェアの移植が容易であるとともに、様々 なリアルタイムOS(Operating System)を搭載することも可能です。また、入出力インタフェースに関し ては、複数のビデオ入力、最大150MHzで128MB迄のシンクロナスDRAMを直結できるメモリコントローラ、 32ビット 33/66MHz PCIバスをサポートしています。 「MAP-CA」ではアプリケーションプログラムを100%C言語で開発できます。このためプログラマの生 産性は飛躍的に向上し、同時にコンパイラによる最適化により、「MAP-CA」の性能を最大限に引き出す ことができます。この「MAP-CA」のメディア処理アーキテクチャとC言語記述がソフトウェアソリューシ ョンを可能にしました。これにより、柔軟性に富み、製品寿命が長く、付加価値の高い製品開発が可能と なります。例えば、セットトップボックスでは、MPEG2(Moving Picture Experts Group - 2)の他、 MPEG4、H.263などの映像符号化標準規格や種々のサービス機能の実現がソフトウェアの変更、追加だけ で可能となります。インターネットをインフラとした様々なサービスが展開され、様々な標準規格が生 まれるなか、ソフトウェアソリューションはこれらに柔軟かつ短期間で対応でき、その上、プログラム の変更により、製品寿命をより長くすることが可能です。 現在CATV(Cable TV)やADSL(Asynchronous Digital Subscriber Line)を使って、インターネットの高速化が急速に進みつつあります。この広帯域 インターネットの普及と並行して、いろいろな新しいサービスが提供されることが予想されます。 「MAP-CA」を使えば、この新サービスに対応した機能拡張が、短期間かつ低コストで実現できます。 イクエータの共同設立者のJohn Setel O'Donnel社長によれば、「MAP-CAは、既存DSPの5倍の性能、 マルチメディア対応デスクトップ汎用プロセッサの100倍のコストパフォーマンスを有し、全てのHDTV 形式をサポートできます。このため、MAP-CAはハードウェアビデオチップを陳腐化してしまうでしょう。 また、絶え間なく発展するインターネット分野で次々と新製品を出したい設計者にとって、MAP-CAのソ フトウェアアプローチは、理想的であるといえます。このソフトウェアアプローチによって、製品のフ ィールドアップグレードが可能になるため、新製品を購入してもすぐに旧式化してしまうのではないか という消費者の心配を払拭し、メーカにとってもコストのかかるハードの交換が不要になります。さら に、サービスプロバイダやケーブルオペレータは、ソフトウェアダウンロードによるフィールドアップ グレードによって、容易に新サービスを提供することが可能になります。」 価格と製品提供時期 ・ 「MAP-CA」LSIの価格は、注文量及び出荷時期にもよりますが、20万個注文時1個あたり$40を予定し ています。詳細につきましては、日立またはイクエータにお問い合わせください。 ・ サンプルは現在提供可能で、量産出荷は本年夏を予定しています。 ・ ソフトウェア開発ツール(iMMediaTools)は、並列化Cコンパイラ、リンカ、ソースレベルデバッガ、 シミュレータなどをイクエータが提供します。 ・メディアライブラリとしては、MPEG-2圧縮/伸長、JPEG圧縮/伸長、ビデオポストフィルタリング、オ ーディオ、テレフォニー、ビデオ会議コーデックなどのリファレンスソフトウェアモジュールをイ クエータが提供し、MPEG-4, AFD(All Format Decoder)*4リファレンスソフトウェアモジュールは 日立が提供します。 *1)VLIW:Very Long Instruction Word:命令長を長くすることにより実行可能な演算数を増やし、高 性能化するプロセッサアーキテクチャ。 *2)GOPS:Giga Operations Per Second:1秒間に実行可能な演算回数で表現し、DSPの性能を表す指標 に使われる。30GOPSは、1秒間に300億回の演算を行うことを表す。 *3)SIMD:Single Instruction Multiple Data:コンピュータのデータ処理制御方式の1つで、複数デ ータに対し、同一の命令を並列に実行させて同一処理を行う方式。画像処理やパターン比較処理 などに適する。 *4)AFD(All Format Decoder:米国ATSC(Advanced Television Systems Committee)のHD(High Definition)を含む18種の映像形式をSD(Standard Definition)形式に変換しつつデコードする日 立が開発した技術。既存のTVでHD映像を見ることが可能。 ■ イクエータ社の概要 米国カリフォルニア州キャンベル、ワシントン州シアトル、テキサス州オースティン、東京に拠点 を持つ、半導体システム会社。1996年に設立され、半導体、システムソフト、アプリケーション ソフトを開発、販売している。 URL:http://www.equator.com 以上
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WRITTEN BY Secretary's Office |