日立製作所 昇降機グループ(グループ長&CEO 平元 武治)は、このたび、業界で初めて、駆
動装置等をエレベーターの昇降路内に組み込むことにより、機械室レス(機械室を必要としな
い)オーダーメイド型エレベーター「オーダーアーバン」を、2月23日から発売します。
本製品は、従来、エレベーター機械室のあったフロアーをオフィスや住戸等として活用する
ことが可能になり、収益スペースの拡大が図れます。また、通常、高層ビルで設置する中間階
機械室が不要になることから、ビル内の移動の円滑化が図れるなど、建築・設計の自由度が広
がります。
本製品は、高性能希土類磁石を用いたギアレス巻上機の採用により、駆動機を小型化しまし
た。これにより、駆動機の昇降路内への設置を実現し、機械室を不要にしました。エレベータ
ー設置に必要な面積は、当社従来比でロープ式エレベーター*1に比べて約25%、油圧式エレベ
ーター*1に比べて約20%低減し、ビルの設計の自由度を向上させました。
また、永久磁石同期モータの採用により、消費電力量を、当社従来比で、ロープ式エレベー
ター*2に比べて約10%、油圧式エレベーター*2に比べて約80%低減し、設置後のランニング
コストの削減を実現しました。
当社は、昨年の3月に、積載質量1,000kg(15人乗り)、定格速度105m/minまでの標準型
機械室レスエレベーター「アーバンエース」を発売しました。機械室が不要であるメリットが
大きく評価され、順調に売上げを伸ばしており、受注実績は既に2,000台を超え、標準型エレ
ベーター売上げの約60%を占めています。
今回発売する「オーダーアーバン」は、中規模以上の事務所、ホテル、店舗、病院等を対象
とし、オーダーメイド型エレベーターの約80%を占める積載質量1,600kg、定格速度105m/min
までをラインアップします。
当社では、中規模以上のビルの新規物件に加え、リニューアル物件向けにも販売を進め、平
成12年度は、600〜700台/年、平成14年度は、1,000台/年(400億円/年)の受注をめざします。
*1 当社24人乗りエレベーターでの比較
*2 当社24人乗り、定格速度60m/min エレベーターでの比較
■新駆動方式による採用メリット
(1)階床増による収益スペース拡大
屋上機械室を不要にしたことにより、高さ制限に余裕ができ、1階床増による新たな有
効スペースを設けることができます。これまで屋上であったスペースを最上階として、オ
フィスやマンションの住戸に変えることにより、ビルの収益性が向上します。
(2)建物設計の自由度向上
従来、建築設計上の課題となっていたエレベーターの機械室を不要とすることにより、
例えば、これまで動線計画上、阻害要因となっていた中間機械室がなくなり、建築設計の
自由度が広がります。また、低層ビルでは、屋上機械室が不要になることから日影斜線規
制や北側斜線規制などに抵触する可能性が低減でき、エレベーターの設置レイアウトの幅
が広がります。
(3)省スペース化
機械室が不要となったことにより、エレベーター設置に必要な面積が当社従来比ロープ
式エレベーターに比べて約25%低減、油圧式エレベーターに比べて約20%低減します。これ
により、建物に新たな収益スペースが生まれます。
(当社24人乗りエレベーターでの比較)
(4)省エネルギー化
永久磁石同期モータを組み込んだ小型ギヤレス巻上機の採用により、消費電力量が当社
従来比従来のロープ式エレベーターに比べて約10%低減、油圧式エレベーターに比べて約
80%低減します。これにより、エレベーター設置後のランニングコストの低減を可能にし
ます。
(当社24人乗り 定格速度60m/min エレベーターでの比較)
■製品化のための新技術
(1)高性能希土類磁石を用いたギヤレス巻上機を採用することにより、駆動機の設置面積を
小型化し、これにより駆動機を昇降路内に設置することが可能となり、機械室を不要とし
ました。
(2)駆動方式にギヤレス方式、制御方式のIGBTインバータを採用しシステム全体の効率
化を実現しました。これにより、電動機容量や電源設備容量を大幅に低減しました。
(3)巻上機をギヤレス化するとともに、3次元電磁場解析、振動音場解析を応用して、マシ
ンやモーター構造を最適化することにより騒音を従来比約20dB低減し、ビルトインし
た状態での静粛性を確保しました。
■「オーダーアーバン」の仕様一覧
項 目 | 仕 様 |
用 途 | 乗用・人荷用・寝台用 |
駆動方式 | トラクション方式 |
積載質量/定員 | 450kg(6人)〜1,600kg(24人) |
定格速度 | 45〜105m/min |
速度制御方式 | インバータ制御 |
昇降行程 | 最大60m |
以 上
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