日立製作所 半導体グループ(グループ長＆CEO 石橋 正)は、このたび、液晶表示付きの家電製品や
健康機器向けに、液晶(LCD)コントローラドライバを内蔵し、電源電圧1.8V時の待機時電流を2.2μA
と超低消費電力化した8ビットシングルチップマイコン「H8/3802シリーズ」を製品化し、平成12年3
月からサンプル出荷を開始します。

　近年、血圧計等の健康機器やポット、炊飯器等の家電製品は、性能・機能を維持、向上させつつ、
低価格化が進んでいます。なかでも、電池駆動の機器においては、低消費電力化によるバッテリーの
長時間駆動や部品削減によるセットの小型化を図っています。
このため、これらの機器に使用するデバイスに対しても、部品点数を削減する機能や低消費電力化の
ニーズが高まっています。

　当社では従来、家電製品向けに、8ビットマイコン「H8/300L」をCPUコアとし、さらにLCDコント
ローラドライバを内蔵した超低消費電力マイコン「H8/3887、3867シリーズ」、「H8/3847、3827シ
リーズ」を製品化しています。
今回の「H8/3802シリーズ」は、超低消費電力マイコンのラインアップ強化として64ピン版にコンパ
クト化した上、 1.8Vの低電圧時に、待機時の電流を2.2μAと超低消費電力化しました。これにより、
電池駆動する機器では駆動時間が長くなり、使用電池数を削減することが可能です。さらに、1.8V時
の発振周波数が4MHz、内部動作が2MHzであり、当社従来品と比較して4倍の高速動作を実現していま
す。

　従来、家庭用血圧計等では、内蔵モータを駆動するための高耐圧用IC、またLED表示対応の家電製
品では、LEDの輝度を上げるために必要な大電流用ICを外付けしていました。しかし、本シリーズは、
7本の高耐圧ポート(7V)と6本の大電流ポート(25mA、10mA 各3本)を内蔵したため、部品点数が削減
でき、システム全体の低価格化を図ることが可能です。

　さらに、本シリーズは、25桁4行表示が可能なLCDコントローラドライバや、モータの周波数を制御
する10ビットPWM(注1)、3種類のタイマ、シリアルコミュニケーションインタフェース、10ビット分
解能A/D変換器などの豊富な周辺機能を内蔵しています。その上、非同期イベントカウンタを内蔵し
たため、血圧計などでは、A/D変換された非同期の血圧データをマイコンに取り込むことが可能です。

  製品ラインアップとしては、ROMが16kバイト、RAMが1kバイトのZTATR(注2)版を3品種と、ROMが
8k〜16kバイト、RAMが512〜1kバイトのマスクROM版9品種を品揃えしています。パッケージは、64
ピンのQFP、LQFP、DIPの3タイプがあり、多彩な用途への対応が可能です。

　今後は、「H8/3802シリーズ」の上位品種として、80ピンタイプのZTATR版、マスクROM版を順次製
品化していきます。
 
(注1)PWM(Pulse Width Modulation)：パルス幅変調方式
(注2)ZTATR(Zero Turn Around Time)：ZTATは(株)日立製作所の登録商標です。

■ 応用製品例
●家電製品(電気炊飯器、電気ポット、エアコン、冷蔵庫等の温度表示)
●健康機器(家庭用血圧計、体重計、体脂肪計、電子体温計等)
●通信機器(携帯電話、ページャ等)
●メーター(ガスメーター、電力メーター等)

                                                                                 以 上

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