日立製作所 金融・流通システムグループ(グループ長&CEO小野 功)は、ジャパン・スペースリ
ンク株式会社*2(代表取締役社長:西村忠男)と共同で、早稲田大学 理工学部 情報学科 村岡研究室
に衛星イントラネットシステムを納入しました。本システムは、同研究室の「マルチメディア情報検索
システム」のインフラとして12月14日から稼動を開始しました。
今回納入した衛星イントラネットシステムでは、世界で初めてUDLR方式に対応した衛星ルータ
「WithIT-SAT1(ウィズイット サットワン)」の採用により、衛星回線と地上回線のIPネットワーク接
続や最大6Mbpsの高速伝送、さらに衛星通信の特徴である広域性や同報性を実現します。
インターネットの普及や音声・映像を多用したコンテンツ・サービスの増加、さらには通信と放送の
伝送路の共用化等により、ネットワーク上でやり取りされるデータの大容量化やネットワークの大規模
化が見込まれます。このような状況下、大容量のデータを多数の拠点に同時に、高速かつ低コストで配
信できる衛星インターネット/衛星イントラネットシステムを多方面に活用することへの期待が高まっ
ています。
当社では、ネットワーク アウトソーシングサービス「Compassport(コムパスポート)」を平成7年
5月に開始し、情報ネットワークシステムの構築、運用、セキュリテイ管理などの幅広いサービスを提
供してきました。また、本年3月から「衛星イントラネット構築・運用サービス」「衛星インターネッ
ト接続サービス」の提供を開始しています。
早稲田大学 理工学部 情報学科 村岡研究室では、通信・放送機構(TAO)*3の支援を受け「マルチメ
ディア情報検索システム」に関する研究プロジェクトを推進しています。同プロジェクトでは、同報性、
広域性、高速性を備えた衛星回線を情報検索に利用することで、国内の全サーバから必要なデータを効
率よく高速に検索できるネットワークシステムの実現を目指しています。今回納入した衛星イントラネ
ットシステムでは、IPマルチキャスト*4機能により、ネットワーク上に配備した複数のサーチロボッ
トへ検索条件を衛星回線で同時配信します。これを受けたサーチロボットが各々の担当エリアの情報を
一斉に検索・収集し、検索結果を地上回線で返信する衛星通信情報検索システムが実現します。
学術研究や広範な産業分野において最新かつ詳細なデータを入手しようとする場合、現状の検索シス
テムで国内の全サーバのデータを検索・収集するには数週間の期間を要します。そのため、検索時には
収集したデータが古くなってしまうという問題がありますが、本方式による検索システムが実用化され
れば、1時間以内に日本全国のサーバ上に存在するデータを検索・収集できるほか、従来の文字検索に
加え、音声や映像等のマルチメディアデータの検索が実現します。また、今回納入したシステムは既存
のネットワークにそのまま接続し、小型CS放送受信アンテナを利用できるため、設備投資が大幅に低
減されるとともにシステム拡張も容易です。さらに、悪天候時には瞬時に地上回線への自動迂回を実現
し、高信頼なネットワークシステムが実現します。
* 1UDLR:Uni-Directional Link Routing:衛星回線と地上回線といった異なる回線をあたかも一
本の回線に見なして利用する接続方式
* 2ジャパン・スペースリンク株式会社:(衛星系一般第二種電気通信事業者・衛星回線提供)
* 3通信・放送機構:TAO:Telecommunication Advancement Organization of Japan
:郵政省の認可法人。情報通信分野の研究開発や通信・放送事業に関する各種支
援を実施
* 4マルチキャスト機能:一つのパケット(データ)を特定かつ複数のコンピュータに同時に送信す
る技術
■商品名称等に関する表示
本文中の「WithIT-SAT1」は、日立製作所と株式会社日立インフォメーションテクノロジーの共同
開発製品です。
以 上
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