監査委員会、内部監査部門および外部の会計監査人の三者が連携し、内部統制の実効性をさらに向上させる「三様監査」を強化しています。
取締役会は、企業価値・株主共同の利益の継続的な向上のため、日立グループの経営の基本方針を決定し、執行役および取締役の職務の執行を監督します。経営の基本方針には、中期経営計画や年度予算などを含み、取締役会においては、法令、定款または取締役会規則に定める決議事項に加えて、経営の基本方針に関する戦略的な議論にも焦点を当てます。
2023年度は、2024中計の進捗報告において、全体の重点事項や各セクターの進捗を報告し、中期経営計画との整合性を確認しました。経営計画や事業戦略に加え、サイバーセキュリティや生成AIに関するリスク等の対応についても広く議論・審議しました。
これらの経営の基本方針に係る戦略的な議論やリスクに関する議論に加えて、執行役社長の諮問機関である経営会議で議論した重要事項を取締役会に報告し議論することで、経営の監督側と執行側との認識の共有を行っています。これらの議題においては、より活発な議論を行うため、議題の説明以上に意見交換に時間を割くこととしています。
2023年度取締役会実績 | |
---|---|
開催日数 | 9日 |
平均議題数 | 8.2議題/回 |
1日あたり平均開催時間 | 2.9時間(最長5.8時間) |
取締役会では、取締役会の実効性向上のために個別ミーティングや現場訪問などを実施し、情報共有機会の充実を図っています。当社は、年1回を基本として事業とかかわりの深い国において取締役会を実施しており、2023年9月には、スウェーデンのストックホルムにて取締役会を実施しました。ストックホルムでの取締役会では、欧州地域における事業戦略や環境戦略について議論を行ったほか、現地有識者による講演会や現地子会社訪問を実施しました。加えて、2023年12月には、当社の研究開発の拠点の一つである研究開発グループ国分寺サイト「協創の森」において取締役会を実施し、研究開発・イノベーション戦略について議論を行ったほか、現場の従業員による研究開発の取り組みの説明を受けました。
このほか、Hitachi Social Innovation Forum、事業化発表会、研究所で開催される研究発表会へのオンラインも含めた出席、日立オリジンパークの視察などを通じ、事業への理解を深めるとともに、経営幹部や現場の従業員との対話の機会を設けました。
当社では、執行役の選解任については、指名委員会に事前報告した上で、経営における最適な業務執行体制を構築すべく取締役会が決定します。
最高経営責任者は当社コーポレートガバナンスガイドラインに定められているとおり、会社経営の分野における豊富な経験と実績を有し、当社の企業価値・株主共同の利益の継続的な向上を実現するために最適と考えられる者であることを基本方針とし、指名委員会での事前協議と提案を踏まえて、取締役会が決定します。
最高経営責任者の後継者計画については経営環境の変化のスピードが加速する中で、グループ・グローバルに事業をリードし、成長戦略を具現化するために必要な経営人財を適時・適切に確保、育成する仕組みの構築をめざしており、将来の経営者候補の早期育成を目的に、選抜研修にも注力しています。そこでは、日立の成長には何が必要であるかを参加者同士で議論し、経営層に提言する場を設けることで、一人称で考え、志をもって行動できる次世代のリーダーを育成しています。
当社は、取引や事業上必要である場合を除き、他社の株式を取得・保有しないことを基本方針としています。すでに保有している株式については、保有意義や合理性が認められないかぎり、売却を進めていきます。
当社では、毎年、取締役会において、保有する全銘柄を対象として保有の適否を検証することとしています。当該検証においては、保有目的、保有に伴う便益が目標とする資本効率性にかかわる水準に見合っているかなどを銘柄ごとに精査しています。なお、2023年度末時点の純資産(連結)に占める政策保有株(貸借対照表計上額の合計額)の割合は1.1%です。
日立は、在任時からの株式保有を通じて経営陣の株主との価値共有を一層高めることで、中長期視点に基づく経営を推進し、企業価値の持続的な向上に対するインセンティブとすることを目的として、日本人の執行役および理事ならびに一部のグループ会社の役員に対して譲渡制限付株式報酬制度を導入しています。2023年度には、中長期視点に基づく経営をさらに推進し、グローバルな競争下でのPay-for-Performance、すなわち企業価値向上と報酬の連動をさらに強化するため、株価条件付報酬の比率を拡大した上で株価条件にグローバル競合比較を新設し、2024中期経営計画の目標達成時のインセンティブを導入する改定を行いました。
2024年度からは、日立の取締役が中長期的な企業価値向上を意識しつつ、経営の監督・助言を行うため、取締役に対する報酬として、新たにRSU制度を導入しました。
なお、当社は、従業員の報酬についても、個人の目標を会社の目標と連動させ、その達成度に応じて報酬を決定する仕組みを導入しており、2024中計に掲げる経営目標を従業員個人の報酬決定に際しての評価指標として用いています。今後も日立は、役員および従業員双方において、企業価値の向上と報酬を連動させて成長へのマインドを醸成し、One Hitachiでグローバルな成長を実現していきます。
基準額に対して、常勤・非常勤の別、所属する委員会および役職、出席会議などを反映した加算を行って決定します。
中長期的な企業価値向上を意識した経営の監督・助言を行うインセンティブとするため、譲渡制限付株式報酬ユニットを付与します。付与から3年経過後に、付与されたユニット相当分の普通株式または現金を交付します。なお、在任期間中の不正行為への関与などが判明した場合には、報酬の返還を求めることとしています(クローバック制度)。執行役を兼務する取締役には、取締役としての報酬は支給しません。
2023年度に、グローバル企業としてのさらなる成長加速に向けて、企業価値との連動を強化した役員報酬制度へ改定しました。改定後の役員報酬制度は、2024中期経営計画との連動およびサステナビリティ目標の反映を強化しています。
具体的には、短期インセンティブ報酬(STI)へのサステナビリティ目標の反映について、これまでは個人評価の指標の一つとしていましたが、サステナビリティ評価として独立させてSTI報酬に占める割合を拡大しました。
また、中長期インセンティブ報酬(LTI)においても、サステナビリティ目標を達成した場合、基準額の10%相当の株式を追加で付与することとしました。
STIにおけるサステナビリティ評価は、「環境」「誠実な経営」「幸せな生活」などのマテリアリティに基づく評価としており、以下をはじめとするサブ・マテリアリティ目標と連動しています。
今後も日立は、企業価値の向上と報酬を連動させて成長へのマインドを醸成し、One Hitachiでグローバルな成長を実現していきます。
マテリアリティ | サブ・マテリアリティ目標 |
---|---|
環境 |
|
誠実な経営 |
|
幸せな生活 |
|
詳細はニュースリリースをご覧下さい。