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2006年3月8日

トピックス

【技術研究】電子カルテシステムのさらなる有効活用を実現する クリニカルパスのバリアンス分析機能の研究開発について

日立製作所は、電子カルテシステムのさらなる有効活用をサポートする機能として、クリニカルパス(*1)(以下、パス)のバリアンス(*2)分析に有用な情報を、大量のデータから効率よく見つけ出せる機能の研究を進めています。この機能により、電子カルテシステムを使用する医療機関では、パスの改善に必要な情報を入手しやすくなり、適切なタイミングや頻度でパスの見直しや、治療現場へのフィードバックが行いやすくなります。なお、この研究は、日立の中央研究所と医療情報システム開発本部が協力し、先進的なIT技術の応用と、より実践的な使用現場のニーズの取り込みを行いながら進めています。

*1
クリニカルパス:治療計画表
*2
バリアンス:治療の過程で発生した計画との差異

パスは、患者単位での治療計画・実施状況の共有化に加え、パス/疾病単位での治療結果の把握・分析にも利用されます。医療機関では、より診療効果が高い安全な医療サービスの提供にむけて、バリアンスの収集・分析により、継続的にパスを見直す活動が行われています。最近では電子化したパスの普及にともない、大量のバリアンスを効率よく収集することが可能となりつつあります。そこで日立ではその大量の情報の中から、効率よくパスの改善に有用な情報を適切に探し出す方式について研究を行っています。
日立の電子カルテシステムHIHOPS-HRでは、パスを中心としたチーム医療をサポートする機能としてパス、温度板情報など日々の患者情報を一画面に集約した「ハイパーフローシート」を提供しています。日立では、この「ハイパーフローシート」を電子カルテシステムの重要な要素である、情報の共有化・ユビキタス化を実現するための重要な機能としてさらに発展させるべく、「パスの利活用」に着目した機能エンハンスを進めています。

今回の内容は、2005年11月に開催された第25回医療情報学連合大会において、「バリアンス分析支援方式の提案」として発表したもので、まだ分析方式は研究段階にあります。
今後電子カルテシステムHIHOPS-HRへの搭載にむけて、日立社内病院をはじめとする医療機関のご協力をあおぎながら、実用性の高い実装機能開発に向け取り組んでいきます。(HIHOPS-HRへの搭載時期は今のところ未定です。)

日立が研究しているバリアンス分析機能

スクリーニング

あらかじめ設定した条件に合致したバリアンスの傾向をグラフ表示し可視化することで、重篤な結果をもたらすバリアンスの発見を容易にします。

詳細分析

スクリーニングで抽出した重要なバリアンスが発生するパスについて詳細な分析を行うため、「ゲートウェイバリアンス方式」と「オールバリアンス方式」の二つの方式に適した方法を検討しています。

(1)ゲートウェイバリアンス方式
手術や転科など重要な中間目標に対するバリアンスを分析する方式です。
この方式では、アウトカムとその達成日時との関係を複数患者に渡って比較可能なマルチトラッキングチャートを表示します。マルチトラッキングチャートでは、横軸に経過日数、縦軸にプロセスアウトカム(一日ごとの診療ゴール・アウトカム)を取り、プロセスアウトカムを達成した経過日数を表す点を線分で結びます。あわせて、患者数に応じて線分の描画パターンを変えます。これにより、バリアンスが発生する特異的なプロセスアウトカムとその影響度の把握が可能になります。

(2)オールバリアンス方式
すべての診療項目に関するバリアンスを分析する方式です。
この方式では、診療プロセス可視化ツールを用いて、経過日数と診療行為の軸に合わせて、パス単位でのプロセスの実施回数を濃淡で表現したり、分析対象となった患者のプロセスの実施回数をグラフ表示しデータ群の内訳を対話的にかつ容易に確認できたりする機能で、診療プロセスに沿ったバリアンス発生の根本原因分析支援を実現しようとしています。

以上

  • 日立病院情報ソリューション「HIHOPSシリーズ」ホームページ

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