2002年6月17日
株式会社 日立製作所
―運用実績で先行する亀田医療情報研究所と
慈風会津山中央病院のノウハウを取り込み製品化―
株式会社日立製作所 情報・通信グループ(グループ長&CEO:小野功)は、電子カルテシステムの運用実績で先行する株式会社亀田医療情報研究所と慈風会津山中央病院との技術提携で得た ノウハウをもとに、「電子カルテシステムHIHOPS-HR(以下、「HIHOPS-HR」)」を開発、このたび製品化し、200床以上の中規模および大規模の医療機関向けに6月18日から販売します。
「HIHOPS=HR」は、患者のカルテ(診療録)情報の電子化だけでなく、カルテに付随する紹介状や手術同意書などの伝票・帳票類も含めて電子化して管理・運用する総合システムです。具体的には二つの大きな特徴があります。一つ目は、個々の患者に対する医療行為の予定と実績を治療計画に沿って時系列に見やすく表示する機能をもつ「ハイパーフローシート」です。二つ目は、カルテに付随する伝票・帳票を各病院の運用に合わせたフォーマットで電子化し、簡単に「ハイパーフローシート」に取り込む機能をもつ「eフォームナビゲーター」です。これにより、診療に必要な患者情報の一元管理を行え、「ハイパーフローシート」を活用した診療スタッフ間の情報共有および連携ができるため、より効率的なチーム医療が可能になります。
当社では、今後マーケットの拡大が見込まれる電子カルテ市場に本格参入し、2006年度までに300ユーザへの販売を目指します。
厚生労働省は、「e-Japan重点計画」に沿って、2001年12月に発表した「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」の中で、電子カルテシステムのもたらす効果として、医療機関内、医療機関間の情報共有や、診療情報の調査・研究への活用などが進むことで、医療の質・効率の向上が期待できると述べています。また、「2006年度までに全国の400床以上の病院および全診療所の6割以上に電子カルテシステムの普及を図ること」を目標として掲げ、あわせて政策的な支援も開始しており、今後急速に電子カルテシステムが普及すると見込まれます。
当社では、病院の基幹システム構築において、今回製品化した「電子カルテシステムHIHOPS-HR」を中核に、診療支援システム、医療事務システム、経営支援ソリューションからなる「HIHOPSシリーズ」と連携したトータルな病院情報ソリューションを提供します。
「ハイパーフローシート」は、株式会社亀田医療情報研究所の運用ノウハウを取り込んで当社が開発した機能です。クリティカルパス(*1)や、温度板情報(*2)、医師の指示情報、看護行為など、個々の患者に対する医療行為の予定と実績を治療計画に沿って時系列に見やすく表示する機能です。
また、ワンクリックで投薬内容や検査項目などの詳細情報を参照できます。本機能により、医師が診断を行う際に必要となる、患者の容体や施されている診療行為の全体像、詳細情報の確認が容易になります。また、看護師や各スタッフによる診療行為も、画面上で実施・未実施が色分け表示されるため一目で状況が確認できます。これにより、「ハイパーフローシート」上で個々の患者の診療情報を共有できるため、より効率的なチーム医療が可能となり、診療の質と効率の向上を図ることができます。
ハイパーフローシート画面(一部抜粋)
「eフォームナビゲーター」は、慈風会津山中央病院の電子カルテシステム(1999年12月より稼働)のノウハウを取り込んで開発した機能です。カルテに付随する伝票・帳票を各病院の運用に合わせたフォーマットで電子化し、簡単に「ハイパーフローシート」に取り込む機能です。また患者基本情報を取り込める入力フォームを、ワープロレベルの操作で簡単に作成できます。これにより、それぞれの病院では、従来の運用を大幅に変えることなく事務作業の効率化が図れ、あわせて紙伝票・帳票の保管スペースも削減できます。
疾病や診療科などのテーマごとに診療項目をパターン登録するテンプレート機能や、ペンタブレットを利用した所見イメージ入力機能を用意しています。これらの機能により、カルテを作成する医師の入力の負担を軽減します。また、「ハイパーフローシート」から簡単にカルテを呼び出せるため、スムーズにカルテの作成が行えます。
2006年までに300ユーザ
200床前後の医療機関向け 2億円〜
[内訳:ハード(サーバ1台、クライアント100台程度を想定)、ソフト、パッケージ、導入支援サービス]
2002年10月末
本製品は、財団法人 日本病院会、財団法人 日本経営協会が主催する「国際モダンホスピタルショウ2002」(会期:2002年7月17日(水)〜19日(金)、会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場))に出展します。
以上